立候補ガイド
地方議会の議員に立候補するための要件・手続き・費用・「無投票になる条件」を、公職選挙法と地方自治法に基づいて解説します。最後に、本サイトのデータから算出した 狙い目の議会ランキング も掲載します。
1. 立候補できる人(被選挙権)
| 議会の種類 | 年齢要件 | 住所要件 |
|---|---|---|
| 都道府県議会 | 満 30 歳以上 | 該当区域に 引き続き3ヶ月以上 住所を有する(住民票) |
| 市議会 | 満 25 歳以上 | |
| 特別区議会(東京23区) | 満 25 歳以上 | |
| 町村議会 | 満 25 歳以上 |
根拠:公職選挙法 第10条(被選挙権)、第9条(住所要件)、地方自治法 第18条
つまり 25歳以上の日本国民で、その自治体に3ヶ月以上住民票があれば 市議会・町村議会には立候補可能です。学歴・職歴・資格は一切不問。
2. 供託金:いくら必要か
立候補届出のときに法務局に預ける金額。一定の得票が無いと没収されますが、それを上回れば全額返金されます。
| 選挙の種類 | 供託金 | 没収ライン(有効投票数 × 1/10 未満で没収) |
|---|---|---|
| 都道府県知事 | 300万円 | 有効投票数 × 1/10 |
| 都道府県議会 | 60万円 | 同上 |
| 政令指定都市 市長 | 240万円 | 同上 |
| 政令指定都市 議会 | 50万円 | 同上 |
| 一般市 市長 | 100万円 | 同上 |
| 一般市 議会 | 30万円 | 同上 |
| 特別区 区長 | 100万円 | 同上 |
| 特別区 議会 | 30万円 | 同上 |
| 町村長 | 50万円 | 同上 |
| 町村議会 | 不要(0円) | — |
根拠:公職選挙法 第92条(供託金)、第93条(没収)
町村議会選挙には供託金が必要ありません。 これは制度上、なり手不足が深刻だった町村への配慮として設けられているもの。無投票になれば全議会で供託金は全額返金されます(没収判定は投票結果がある場合のみ)。
3. 無投票になる条件
立候補の届出締切時点で 候補者数 ≤ 議員定数 の場合、投票は行われず、届け出た候補者全員がそのまま当選確定します。これが「無投票当選」です。
| 状況 | 結果 |
|---|---|
| 候補者数 < 定数 | 定員割れ(全員当選+空席) |
| 候補者数 = 定数 | 無投票当選(全員当選) |
| 候補者数 > 定数 | 通常の投票が行われ、得票上位 N 名が当選 |
根拠:公職選挙法 第100条(無投票当選)
無投票当選の場合、1票も得ずに議員になる ことが可能です。実際、直近4年の市町村議会選挙の 27.4% が無投票で終わっています(全国926自治体中254)。町村選挙ではさらに高い比率で無投票が発生。
4. 当選するために必要な票数(法定得票数)
競争選挙(候補者 > 定数)になった場合、得票上位N名が当選しますが、それでも 法定得票数 という最低ラインがあります。これを下回ると、たとえ上位でも当選資格を失います。
法定得票数 = 有効投票総数 ÷ 議員定数 ÷ 4
根拠:公職選挙法 第95条(議員の法定得票数)
例:有効投票総数 10,000・議員定数 20 の市議会選挙なら、10,000 ÷ 20 ÷ 4 = 125 票 が当選最低ライン。これより少ない得票では落選扱い。
5. 任期・兼業・報酬
- 任期:4年(地方自治法 第93条)
- 兼業:
- 地方公共団体に対し請負をする業者の役員・無限責任社員は不可(地方自治法 第92条の2)
- 一般企業の従業員・自営業・他自治体の議員(都道府県議と市議の兼任など)は OK
- 国会議員との兼任は不可(公職選挙法 第90条)
- 議員報酬:月額 + 期末手当(夏冬合計で月額の約4ヶ月分)+ 政務活動費(別途、自治体により有無/金額異なる)
- 議員年金:2011年に廃止。現在は一定期間勤めても年金加算はなし
- 解雇からの保護:議員自身は給与所得者ではないので一般的な労働法保護はなし。任期4年の不安定雇用
6. 立候補の手続き(届出から開票まで)
- 住民票を移す(立候補日の3ヶ月以上前)
- 選挙管理委員会で立候補届出の事前説明会に出席(選挙公示の数週間前。選管が告知)
- 立候補届出書を作成:本人写真・所属党派の届出・本人確認書類など
- 供託金を法務局に納める(町村議は不要)→ 供託書を受領
- 選挙公示日に届出:朝8:30から立候補届出を行う。同時に選挙運動が解禁
- 選挙運動期間(市議:7日間、町村議:5日間、政令市議:9日間、特別区議:7日間)
- 投票日 → 開票:得票順に上位N名が当選
選挙運動は公職選挙法で細かく規制されています(ビラ・はがき・選挙カー・ウェブ・SNSなど、それぞれ枚数/台数/期間に制限あり)。詳細は各自治体の選管にお問い合わせを。
7. データで見る「狙い目」議会 Top 20
本サイトのデータから算出した 当選必要票数の推定が少ない順 のランキング。推定方法は 人口 × 推定投票率 ÷ 議員定数(投票率仮定:町村 60% / 市・特別区 45%)。
注意:これは「実際にこの票数で当選した」記録ではなく、人口と定数から計算した 理論値です。候補者数次第で実態は変わります。とはいえ、小規模な村ほど物理的に「200票集めれば確実」というオーダーで当選可能。
| 順位 | 種類 | 議会 | 都道府県 | 人口 | 定数 | 議員報酬月額 | 推定必要票数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 村 | 青ヶ島村 | 東京都 | 156 | 6 | ¥146,000 | 16 票 |
| 2 | 村 | 粟島浦村 | 新潟県 | 314 | 7 | ¥109,000 | 27 票 |
| 3 | 村 | 渡名喜村 | 沖縄県 | 281 | 6 | ¥162,000 | 28 票 |
| 4 | 村 | 御蔵島村 | 東京都 | 290 | 6 | ¥150,000 | 29 票 |
| 5 | 村 | 利島村 | 東京都 | 301 | 6 | ¥174,000 | 30 票 |
| 6 | 村 | 三島村 | 鹿児島県 | 357 | 7 | ¥228,000 | 31 票 |
| 7 | 村 | 野迫川村 | 奈良県 | 319 | 6 | ¥170,000 | 32 票 |
| 8 | 村 | 平谷村 | 長野県 | 380 | 7 | ¥135,000 | 33 票 |
| 9 | 村 | 大川村 | 高知県 | 350 | 6 | ¥155,000 | 35 票 |
| 10 | 村 | 檜枝岐村 | 福島県 | 485 | 8 | ¥203,000 | 36 票 |
| 11 | 村 | 売木村 | 長野県 | 472 | 7 | ¥134,000 | 40 票 |
| 12 | 村 | 上北山村 | 奈良県 | 419 | 6 | ¥160,000 | 42 票 |
| 13 | 村 | 知夫村 | 島根県 | 571 | 8 | ¥167,000 | 43 票 |
| 14 | 村 | 北山村 | 和歌山県 | 385 | 5 | ¥178,000 | 46 票 |
| 15 | 村 | 小菅村 | 山梨県 | 622 | 8 | ¥121,000 | 47 票 |
| 16 | 村 | 北相木村 | 長野県 | 647 | 8 | ¥140,000 | 49 票 |
| 17 | 村 | 丹波山村 | 山梨県 | 499 | 6 | ¥160,000 | 50 票 |
| 村 | 十島村 | 鹿児島県 | 668 | 8 | ¥230,000 | 50 票 | |
| 19 | 村 | 神恵内村 | 北海道 | 725 | 8 | ¥190,000 | 54 票 |
| 20 | 村 | 粟国村 | 沖縄県 | 641 | 7 | ¥185,000 | 55 票 |
出典:全国市議会議長会 R7 別表 / 町村議会議長会 第71回実態調査(本サイトの 全議会一覧 から個別データへアクセス可能)
8. 注意点とリスク
- 住民票の移転には実生活の伴いが必要:住民票だけ移して住んでいないと公職選挙法違反(虚偽の住所異動)になります。実際にその自治体で生活すること
- 4年後の再選保証はない:1期限りで終わるリスクは常にある
- 議員は住民との接点が多い職業:議員になった瞬間「先生」と呼ばれ、苦情対応・要望対応が日常になる
- 小さな村ほど人間関係が濃い:プライバシーは限定的。地縁・血縁の中で活動することになる
- 本サイトの「定員割れ」は R7.12.31 時点の現状:次の選挙が無投票になるかは別問題。途中辞職や補欠選挙の状況により空席が生まれているケースが多い
- 本サイトは立候補を勧めるものではありません:民主主義に有権者として参加する手段は他にも多くあります
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